toarudaigakuseizakkiの日記

自分の文章をネットの海に残すことを目的にしています。

創作

『あの景色』(創作小説)

真実の愛ですか?そんなもの私にはわかりませんよ。こんな冴えない男にそんな難しい質問の答えはわかりません。あなたの方がきっとお詳しいと思いますよ。あーでも、真実の愛と言えば一つだけ忘れられない思い出が私にもありますねえ。大した思い出じゃない…

『欲望のラーメンの果てに何を見るか?』(創作エッセイ)

エピクロスによる古代ギリシャ哲学であるエピキュリズムはその祖であるアリストテレスやストアの哲学とはある点で一線を画す哲学である。どの哲学においてもユダイモニアという人間の最高の幸福を追求することが目的であることには変わらないが、その追求方…

『燃火の教え』(創作小説)

紀元前5世紀から7世紀ごろ、詳しい年月は明らかになっていないがブッダという人物がいた。本名をゴータマ・シッダルタと言い、彼は現在におけるインド周辺を回り、教えを説くという生活していた。そんな彼にはこんなエピソードが伝わっている。いつものよう…

『風花雪月』(創作小説)

ある朝、津布良風花(つふら ふうか)は奇妙な顔の痛みにより夢から目覚めた。彼女が急いで鏡を覗き込むと、自分の顔がまるで毒虫に刺されたように赤く醜く腫れあがっているのに気づいた。彼女の自慢の美肌はミミズ腫れに覆われ、瞼も満足に開かなくなっていた…

『彼との会話』(創作小説)

私はその男と三度話したことがある。一度目は深夜四時、渋谷のビルの五階で。二度目は深夜二時、寝床であるコテージの二階で。三度目は夜十一時、彼とラーメンを食べた帰り道で。彼は育ちの良さを感じさせる麗しい青年でありながら、ふとした瞬間に消えてし…

『優しさ』(創作エッセイ)

ほとんど一目惚れだった。マイナス10°に垂れた大きな目、艶やかな黒髪を綺麗に切り揃えたボブカット、小柄な体格、大人びた大学生のような色気。彼女のとびっきりの笑顔と親切心を持って行われる接客がそれらの魅力的な要素をより輝かせていた。 10月、着る…

『期待』(創作小説)

両親は私を熱心に育ててくれた。私が欲しいものはなんでも買ってくれたし、やりたいといった習い事はなんでもやらせてくれた。私は両親を喜ばせるべく、勉強し、着飾った。両親が褒めてくれれば私はそれでよかった。 小学三年生の時、校庭で男の子たちがドッ…